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麻酔に関する知識&技術Tips

脳外科麻酔のコツ 注意が必要な疾患について

前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2010.03.30 09:01 | 最終変更
admin  管理人   投稿数: 10
広南病院神経麻酔科 佐藤清貴

【基本】
1.通常の開頭術では最低限の脳圧排で手術ができるよう,静脈麻酔で管理し,軽度hypocapniaとする.(揮発性麻酔薬や亜酸化窒素は脳血管を拡張し,脳容積を増大させ,脳圧を上昇させるので原則として使用しない.)

2.術後の神経症状確認がすぐに行えるよう,速やかな覚醒を得られるように麻酔管理を行う.すなわち術中はremifentanilによる十分な鎮痛の元で麻酔を維持し,fentanylの使用は最低限とする.個人的には原則としてfentanylは閉頭時に3-4mcg/kg投与するのみとしている.ただし,ピン固定が解除される前の体動は危険なので,最後まで麻酔を維持する.

3.顕微鏡手術中や動脈瘤の血管内手術中の体動は危険(神経組織,血管の損傷,動脈瘤穿孔)なので,十分な麻酔深度を維持する.


【各疾患の注意点】
■1.脳動脈瘤クリッピング
1)開頭術の基本に則り,静脈麻酔で管理する.
2)MEPをモニターする場合(ICA,MCA)はrocuronium 0.2 mg/kg/hで開始し,TOFカウントが4回確認でき,TOF15%以上にする.また揮発性麻酔薬はMAPを抑制するので避ける.
3)破裂例(クモ膜下出血)は降圧剤(diltiazem and/or nicardipine)の持続投与をしながら入室することが多い.麻酔導入により著明な血圧低下を招くので,導入前に中止する.またDiltiazem(ヘルベッサー)は単独でも徐脈,ブロックを誘発するので注意する.導入前にアトロピンやエホチールなどを用意しておく.

■2.頸動脈内膜剥離(CEA)
1)脳血管拡張作用の強い揮発性麻酔薬,亜酸化窒素やhypercapniaは血管反応性が維持されている部位の脳血流を増加させるが,病変側はstealにより脳血流が低下する可能性があるので,静脈麻酔で管理し,normocapniaとする(モヤモヤ病など血管吻合術を行う他の虚血性疾患でも同様).
2)心拍出量と脳血流量維持のためDOB 1-3 mcg/kg/minなど使用し,血流遮断前に一定とする(遮断時の脳酸素飽和度変化によりシャントを使用するかどうかを決定するため).フロートラックで心拍出量をモニターすると良い.
3)血流遮断の少し前に(タイミングは外科医から指示がある)ヘパリン5000単位IV,ラジカット2A(1Aを30分,1Aを60分で入れる)を開始する.ヘパリン投与前後のACTを確認する.
4)側副血行が不十分な症例では血流遮断時に体血圧が上昇する.原則として降圧や麻酔の増量は行わない.ただしST変化など心筋虚血が疑われる場合は術者にそれを伝え,シャントをしての内膜剥離にする(シャント挿入,抜去時のみ遮断し,剥離操作はシャント血流がある状態で行う).
5)遮断解除後DOBは徐々に下げ,normotensionとする.脳酸素飽和度が下がる場合は体血圧を高めに維持し,一方上昇するときは術後のhyperperfusionが考えられるので低めに維持する.
6)手術終了後,抜管時の高血圧は積極的に治療する.
7)ACTを確認し,場合によってはプロタミンを使用する.

■3.下垂体とその近傍の腫瘍に対するHardy手術(transsphenoidal)
1)脳退縮を得る必要はないので,麻酔薬の選択はこだわらない.
2)腫瘍が鞍上部に進展している場合は腫瘍の鞍内方向に押し出されるよう,むしろ揮発性麻酔薬を使用し,PaCO2を高めに管理する.
3)Corticosteroidの補充を行う(当院では麻酔開始時にソルコーテフ100mg IV,腫瘍切除開始時にソルコーテフ50mg IV,手術終了時にソルコーテフ50mg IVしている).
4)DI(尿崩症)が生じる場合がある.通常の輸液管理で水バランスがnegativeとなりNaが上昇する場合はピトレッシンの持続投与を行う.

■4.脳動脈瘤塞栓術(coil embolization)
1)血管内治療では繊細なカテーテル操作が必要であり,特に破裂例では再破裂の危険性が高いので,原則として循環を安定化しかつ無動化できる全身麻酔を選択する.
2)破裂動脈瘤では動脈瘤の出血点に血栓がつき,出血がかろうじて止まっている状態で手術が行われる.この状態で脳容積を縮小させるプロポフォールなどの静脈麻酔を使用したり,過換気を行うことは,動脈瘤壁を介する圧格差trans-mural pressure(動脈圧?頭蓋内圧)を拡大させ,再破裂の危険を増大させると考えられるので,揮発性麻酔薬を用い,PaCO2を下げすぎないよう,また体血圧を低く管理する.
3)本疾患では,無動化することが全身麻酔の大きな目的なので,麻酔は浅くならないよう,また筋弛緩は深く維持する.
4)手術開始時にヘパリン5000単位IVその後1時間ごとに1000単位IV投与するが,破裂例では投与のタイミングをずらす場合がある.
5)LMAでも管理可能であるが,術中血栓形成があった場合はアスピリンなどの抗血小板剤をNG-tubeから投与する場合があるのでプロシールまたはスプリームを使用する.
6)当院では破裂例で血栓化がより確実になる翌日までpropofol(+dexmedetomidine)による鎮静,呼吸管理している.術後の循環を安定化させるため,fentanylを十分に投与する.
7)未破裂例では原則として破裂例と同様に管理するが,術直後に覚醒・抜管するので,揮発性麻酔薬とremifentanilで,normocapniaとして維持する.

■5.てんかん焦点切除
1)難治性てんかんに対し,焦点切除や興奮伝導路の遮断手術が行われるが,発作波の消失を目指して術中の脳波所見をみながら切除を行う場合がある.
2)その場合(術中脳波を指標に手術を進める)麻酔薬による脳波の抑制が問題となり,spikeの賦活が行われる.
3)Spike賦活法として現在はalfentanil,remifentanilなどのオピオイドまたはsevofluraneが用いられる.本邦ではsevofluraneが一般的で,当院でも採用している.(世界的にはオピオイドによる賦活の方がfalse positiveが少ないと考えられている)
4)Sevoflurane 1.5 %,remifentanil 0.2 mcg/kg/min程度と筋弛緩で軽度hypocapniaとして麻酔を維持し,賦活を行う場合は呼気sevoflurane 2.5 %になるよう調節する.血圧低下時には適宜昇圧する.
5)手術適応となる症例は長期間複数の抗けいれん剤が投与されており,肝臓での薬物代謝が促進され,術中の非脱分極性筋弛緩薬,オピオイドの必要量が増加することに留意する必要がある.筋弛緩モニターを使用した方がよい.
6)硬膜下電極留置術では,電極を留置するspaceを確保する意味で静脈麻酔による管理とする.

■特殊な場合
術直後の脳循環が不安定となりやすい場合は直後の覚醒・抜管を行わず,鎮静を持続して循環管理する.
1)AVM切除,塞栓:特に術前シャント量が多い場合,AVM周囲脳の血管は拡張し反応性が低下している.その状態でAVMが切除されるとhyperperfusionとなり,脳浮腫.時に脳出血を生じる.これと同様の理由でAVM塞栓術(血管内治療)の場合も急激な脳循環の変化を来す場合があり,術後鎮静を持続する.比較的最近使用するようになったONYXによるAVM塞栓の場合がこれに該当する.(以前使用していた塞栓物質では脳循環に大きく影響するほどの塞栓は不可能だった)
2)CEA(頸動脈内膜剥離),CAS(頸動脈ステント)の一部(施設によってはCEA全例):CEA,CAS直後は虚血脳への再灌流によりhyperperfusionを来す場合がある.術前の脳血管反応性低下が大きい場合はその危険がある.術中,再灌流時の脳酸素飽和度が上昇し,それが持続する症例では注意が必要で,危険性が高いと判断された場合は直後の覚醒・抜管は行わず,鎮静を持続して循環管理する.CEAではペパリン使用下の手術で,時に術後出血により気道狭窄を生じ緊急再手術,緊急気管切開を要する場合がある.これも直後の覚醒・抜管を行わない理由となる場合がある.
3)破裂脳動脈瘤の塞栓術(coil embolization):前述のように,当院では破裂脳動脈瘤塞栓術では術後鎮静を持続し,翌朝覚醒・抜管している.術中ヘパリンを使用しており,直後の血栓化が十分ではないからである.むしろ術直後の神経症状確認を優先し,直後に覚醒・抜管する.
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